2017年 08月 04日
一点突破全面展開の幼馴染 |
小学校からの幼馴染が2日、亡くなった。がんの転移がほぼ全身に。年は越せまいと危惧していたが、この夏までがんばった。大学入学後、彼がよく口にしていた言葉が一点突破全面展開。学生運動にのめりこみ、留置場に確保されることもしばし。可愛い女の子にひかれた軟弱な運動家が周囲に多かったが、彼は筋金入りのように思えた。女にも筋金入りで、20歳で学生結婚。酒のつなぐ縁で彼と飲む機会が多かった。会う場所はほとんど京都。目の前を行き交う女の子や高校時代の女の子の品定めが主体。政治の話はほとんどなかったように記憶している。安酒を飲みすぎて御所で世を明かしたことも或る。金がなかったので、朝飯代わりにと買った西瓜。二日酔いにはこれまた美味であった。今の若者と違い、あたりを散らかすことなく退散したことは言うまでもない。祇園祭では浴衣の姉ちゃんに妄想をかきたて、悶えては酒を食らった〈飲むの最上級〉。これも懐かしい青春である。時が過ぎ、いつごろかは定かではないが、小学校の同窓会が毎年のように開かれるようになる。女性の劣化は目を被うばかりだが、「このハゲー」も過半数を超えている。彼は写真係を買って出る。事実玄人並みの腕である。母子センターより妊婦と子供のためのレシピ本を発刊した時は彼に全3巻のすべての写真をお願いした。プロのカメラマンに頼むとエライ高額につくとの危惧からである。この本の作成には一言いわずにはいられないうるさ型もえら噛みである。それ故、結果が心配であったが、まさに杞憂で、彼らが感心する出来栄えであった。安い謝礼を手にした彼は「これで飲もうや」とメールをくれたが、その数か月後の昨年、がんが発覚し、その約束は反故になった。そして今日、奥さんやお嬢さんさんの涙はつらい。医者嫌いやから発見が後手に。三途の川を一点突破してどないするねん、と、がんと闘った疲れ果てた顔に無言で問いかける。そして思う、俺はやっぱり生前葬や!(写真は暑い夏、大阪の夏に舌もヨレヨレのジョリとアミー)
by amitohyama
| 2017-08-04 13:32
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