2016年 10月 27日
新地千円札叩きつけ事件 |
前回ふれたバーに関する大事件をひとつ。1986年1月、阪神が日本一になったオフのことである。外人をつれて天橋立に。それに同行したM氏夫妻。和気あいあいと、時は流れる。そして2月、M氏の奥さんの急死の報。取るものもとりあえず、イッチョラの黒服を着込んで葬式に。小生の姿を見つけると脱兎のごとく駆け寄り、抱き着くM氏。男との抱擁は忌み嫌う小生であるが、事情が事情、事が事だけに、彼の肩に手を添える。見ると彼の鼻腔か鼻汁の洪水。瞬く間にイッチョラの黒服をはな光にする。時が時だけに耐えるのみである。むしろ、「嫁はんの為、ヒトにはばかることなく、これだけ悲しめるのは、ホンマ、ええやちゃ」と。
そして数か月たった、ある日、廊下で、「先生、ご相談したいことがありますねん」と声をかけられる。悲しみがまだ癒えないんやと思いながら、「まあ入れや」と教授室へ。身を正すようにして、「先生、仲人お願いできますか」「エッ、誰のや?」「僕に決まってますやん」言葉を失ううも、「まだ一周忌も済んどらんやろ。せやのに結婚!、俺が仲人、無理やろ、前の奥さん良くしっとんのに」「弟子の仲人でっせ。頼みますわ」、などと押し問答。結局夜にもう一度話し合おうということになり、くだんのバーで待ち合わせ。
そこでも、同じ言葉の押し問答が繰り替えされる。徐々にアルコールが進むと、それまで飲み込んでいた言葉が、口から発せられる。「お前は人間とちゃう。動く生殖器や」。ただでさえ、酒癖の良くないM氏、激昂し、「もう頼みませんわ。先生におごってもらうのも(誰もおごるなんて一言もゆうてない)プライドが許さんし、自分の分はきっかり払うて行きます。」とバーンと手のひらでカウンターを叩く。その下には確かに札が見える。立ち上ったM氏、ドアをグイッと押しあけ、悠然とその場を後にする。直後、カウンターから、「いやぁ、先生、これ、千円札ですえ」とママの声。「まさか、万札やろ」「いいえ、間違いなく千円札。うち、これでも新地の店なんやけどねえ」これがけちの付け始めか、数年後この店は閉じる。今になって思えば、慶応や東大の獣に比べれば、動く生殖器なんて、可愛いものである。(写真;歯の治療で元気倍増のアミ・ジョリ)
そして数か月たった、ある日、廊下で、「先生、ご相談したいことがありますねん」と声をかけられる。悲しみがまだ癒えないんやと思いながら、「まあ入れや」と教授室へ。身を正すようにして、「先生、仲人お願いできますか」「エッ、誰のや?」「僕に決まってますやん」言葉を失ううも、「まだ一周忌も済んどらんやろ。せやのに結婚!、俺が仲人、無理やろ、前の奥さん良くしっとんのに」「弟子の仲人でっせ。頼みますわ」、などと押し問答。結局夜にもう一度話し合おうということになり、くだんのバーで待ち合わせ。
そこでも、同じ言葉の押し問答が繰り替えされる。徐々にアルコールが進むと、それまで飲み込んでいた言葉が、口から発せられる。「お前は人間とちゃう。動く生殖器や」。ただでさえ、酒癖の良くないM氏、激昂し、「もう頼みませんわ。先生におごってもらうのも(誰もおごるなんて一言もゆうてない)プライドが許さんし、自分の分はきっかり払うて行きます。」とバーンと手のひらでカウンターを叩く。その下には確かに札が見える。立ち上ったM氏、ドアをグイッと押しあけ、悠然とその場を後にする。直後、カウンターから、「いやぁ、先生、これ、千円札ですえ」とママの声。「まさか、万札やろ」「いいえ、間違いなく千円札。うち、これでも新地の店なんやけどねえ」これがけちの付け始めか、数年後この店は閉じる。今になって思えば、慶応や東大の獣に比べれば、動く生殖器なんて、可愛いものである。(写真;歯の治療で元気倍増のアミ・ジョリ)
by amitohyama
| 2016-10-27 12:47
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