2015年 11月 19日
人材育成、調教師か馬か。 |
今月は3回の偲ぶ会。それだけでも落ち込むのに、追い打ちをかける出来事が二つ。その一つはある准教授のこと。20年ほど前、阪大の学士を受験。その面接の際、基礎研究で脳をやりたい、小生のところに来たいと述べる。ごく僅差でこの難関は突破できなかったが、その言葉にたがわず、某医科大学を卒業後、ストレートに二解剖へ。研究ができるなら、一軍の将になれるのなら、この狭い日本、どこにでも行くこと、と言い渡した。事実、それが二解剖であるから。最初はどうなるかと思ったが、英才教育の結果、まずまずの研究者に。学生指導も熱心。留学も済ませ、30歳代半ばで准教授にさせた。関西の某医科大学に応募させようかと内情を少し調べる。本人も乗り気で学長とも会う。しかし、多々の問題があり(何かは酒席で)、応募しないことに。少し日時が経ったとき、近畿圏外の国立大学より、だれかよい人に立候補を、との誘い。かれの了解を取り、応募させる。有力になりつつある、との情報に遠門会の幹部の顔もほころぶ。まさにその時である、当該の准教授よりこの件の責任者に立候補を辞退したいと。聞けば、彼の出身の医科大学の教授が、後任にぜひ来てほしいと言っている。彼は大学の先輩でクラブの顧問で断れない。極めつけは関西から離れることを親が反対していると。この件の責任者も准教授の意思を翻すことはできずに結局立候補辞退のはめに。
この件は多くの問題を抱えている。まず准教授の母校の教授。彼の後任になることが准教授の研究人生にとってプラスになると思って強引に引っ張たのか。単に自分の講座の後継者がほしい、というエゴではないのか。ほとんど研究らしい研究もなく人材育成を怠ったつけをこちらに回してほしくない。第二に母校の教授選は2年後。あの複雑な医大で必ず勝つという保証があるのか。ましてや母校の教授の専門は准教授の所属する解剖とは異なる。やめてゆく教授のエゴと筋違いの母校愛に振り回されている。本当の母校愛は母校出身の人間が他の大学で多岐にわたり活躍して母校の名を高めることである。
当然、本人の問題の方がより大きい。本人は何のために研究を続けてきたのか。母校のためではあるまい。彼を育てた人たちが彼の将来のために良かれと判断し、本人も立候補を了承したのに。彼を推し、ここまでもってきてくれた当該大学の先生には本当に申し訳ない思いでいっぱいである。それならなぜ関西圏の他の医大への立候補に興味を示したのか。要するに関西から離れたくないだけではないのか。研究ができるなら、どこにでも行く。自分の学問を評価してくれるところなら、どこへでも。このようなプロとしての気概、矜がわが門下から消えつつのは寂しい限りである。人間は恵まれた環境では、環境づくりに腐心してくれている周囲への感謝の念は薄れがちである。ハングリーで四面楚歌の折には人の情けは身にしみてわかる。この准教授がこれまでの環境に、そして今回彼のために動いてくれた人たちに感謝する日が来るのであろうか。来ないような気がする。まさに遠門会、遠山3代といわれるのもむべなるかなである。
この件は多くの問題を抱えている。まず准教授の母校の教授。彼の後任になることが准教授の研究人生にとってプラスになると思って強引に引っ張たのか。単に自分の講座の後継者がほしい、というエゴではないのか。ほとんど研究らしい研究もなく人材育成を怠ったつけをこちらに回してほしくない。第二に母校の教授選は2年後。あの複雑な医大で必ず勝つという保証があるのか。ましてや母校の教授の専門は准教授の所属する解剖とは異なる。やめてゆく教授のエゴと筋違いの母校愛に振り回されている。本当の母校愛は母校出身の人間が他の大学で多岐にわたり活躍して母校の名を高めることである。
当然、本人の問題の方がより大きい。本人は何のために研究を続けてきたのか。母校のためではあるまい。彼を育てた人たちが彼の将来のために良かれと判断し、本人も立候補を了承したのに。彼を推し、ここまでもってきてくれた当該大学の先生には本当に申し訳ない思いでいっぱいである。それならなぜ関西圏の他の医大への立候補に興味を示したのか。要するに関西から離れたくないだけではないのか。研究ができるなら、どこにでも行く。自分の学問を評価してくれるところなら、どこへでも。このようなプロとしての気概、矜がわが門下から消えつつのは寂しい限りである。人間は恵まれた環境では、環境づくりに腐心してくれている周囲への感謝の念は薄れがちである。ハングリーで四面楚歌の折には人の情けは身にしみてわかる。この准教授がこれまでの環境に、そして今回彼のために動いてくれた人たちに感謝する日が来るのであろうか。来ないような気がする。まさに遠門会、遠山3代といわれるのもむべなるかなである。
by amitohyama
| 2015-11-19 15:50
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