2014年 09月 18日
網膜へのiPS細胞のヒト臨床試験 |
鬱状態を脱しきれない日々である。網膜への色素上皮iPS細胞の移植が報告され大変な話題になっている。滲出型加齢黄斑変性症に対する治療である。高橋さんは安全性の試験を強調しているが、マスコミは治療へ、と大騒ぎである。うまくゆくことを祈るが、少し?気になることがある。ヒトの安全性試験の前には前臨床の段階がある。ここでは実験動物を用いての安全性と効能を調べる。特に、今回はサルなどの前臨床が必要になるが、この前臨床試験の結果がなかなか表に出てこない。視野は回復したのだろうか。光受容細胞の再生の有無は?再生したのなら、網膜内での伝達はよくなったのか、外側膝状体や視覚野への連結は回復したのか、などクリアしなければいけない問題の結果を知りたいと思うのは患者だけではない。ヒトへの臨床試験はサルなどの前臨床試験で効果が認められたからだと信じたい。急ぎすぎて功を焦ると、iPSの臨床試験全体の大きな障害になるので。ましてや記者会見で患者さんは視野があかるくなったなど、プラセボ効果は言わないほうがよいし、患者に過度な期待を持たせることは厳に慎むべきである。胎児ではなく、高齢成人で、色素上皮細胞を移植して光受容細部が再生し、回路を再形成するとしたとしたら、学問的にもほんまか?と興味深々である。
by amitohyama
| 2014-09-18 17:29
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